6月から施行
改正消費者契約法のポイントを説明
2月8日にコンプライアンスセミナー開催
顧問の千原曜弁護士を招いて新春コンプライアンスセミナーを2月8日、東京・秋葉原で開催しました。
千原弁護士は「特商法全体に網をかける消費者契約法の重要ポイント、ネット活用が増えるダイレクト・セリング業界が知っておくべき通販規制、訪販禁止ステッカー条例への対応」のテーマで講演されました。
千原弁護士が語られたポイントについて御紹介します。
① 2019年6月施行の改正消費者契約法について
以下の「取り消しができる規定」が追加されます
ア 社会生活上の経験不足を不当に利用
(1)不安をあおる告知
例)就活中の学生の不安を知りつつ「このままでは一生成功しない、この就活セミナーが必要」と告げて勧誘
(2)恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用
例)消費者の恋愛感情を知りつつ、「契約してくれないと関係を続けない」と告げて勧誘
イ 加齢等による判断力の低下を不当に利用
例)認知症で判断力が著しく低下した消費者の不安を知りつつ「この食品を買って食べなければ、今の健康は維持できない」と告げて勧誘。
ウ 霊感等による知見を用いた告知
例)「私は霊が見える。あなたには悪霊が憑いておりそのままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」と告げて勧誘
エ 契約締結前に債務の内容を実施
例)注文を受ける前に、消費者が必要な寸法に竿竹を切断し、代金を請求
オ 不利益事実の不告知の要件を緩和(故意の不告知だけでなく重過失(注による不告知も取消可)
例)隣地に日照を阻害するマンションが建つことを重過失で知らずに
「日照良好」と説明しつつ、マンションを販売した
注1重過失とは「結果が発生する予測」と「避ける行為」が簡単な場合なのにしてしまうことを言います
さらに、以下の不当な契約条項が追加されます
ア 消費者の後見等を理由とする解除条項
例)「賃借人(消費者)が成年被後見人になった場合は直ちに賃貸人(事業者)は契約を解除できる」との条項
例)「会員が、成年被後見人の宣告や申立てをうけたときは、事業者は直ちに会員資格を取り消すことができます」との条項
イ 事業者が自らの責任を自ら決める条項
例)「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負います」との条項
例)「お客様は、弊社に過失があると弊社が認める場合を除き注文のキャンセルはできないものとします」との条項
② 訪販お断りステッカーについて
47都道府県と20政令指定都市に対する訪販お断りステッカーの活用状況(日本流通産業新聞2019年1月10日号参照)を見てみると、
「条例上の拒絶の意思として訪販お断りステッカーを有効にしている」とする地方自治体は、大阪府(消費者保護条例17条 規則5)、大阪市(消費生活保護条例18条1項12号)、堺市(消費生活条例施行規則)奈良県(消費生活条例14条)、札幌市(不当な取引行為に該当する行為の基準を定める規則4条の(2))と、北海道、京都府、兵庫県の計8自治体があります。
北海道、京都府、兵庫県の3自治体は、「条例上は明文化していないが、訪販お断りステッカーを拒絶の意思表示として判断している」としています。
つまり、ステッカーが実質的に「不招請勧誘」(あらかじめ求めていない消費者に対して勧誘すること)への抑止になっていると言えます。
不招請勧誘について地方自治体の条例に盛り込まれた事例は、当協会では、1つも確認できていません。
ただし、盛り込む動きは過去にはありました。2009年の秋、秋田県で、消費者保護条例に訪販、電話、ファクスでの不招請勧誘を禁止する項目を盛り込む8人の超党派の県議会議員の動きがありました。マスコミでも大きく報道されましたが、多数の議員や訪販企業の反対意見書などで廃案になった経緯があります。
不招請勧誘の条例への盛り込みが立ち消えになってから、訪販お断りステッカ―の有効性を条例に盛り込む動きが起こりましたが、東京都や神奈川県では否決され、千葉県も盛り込まない方向で進んでおります。
ただ、日弁連や地方の弁護士会や消費者団体は、高齢者被害を抑えるために訪販お断りステッカーを積極的に配布している現状があります。
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